競馬を楽しむヒント

日々の雑記と競馬と。他人の馬券に感情移入できるブログだよ。

2022年有馬記念を振り返る

10度目の有馬記念
私はこのレースを当てたことがない。
毎年はずしている。でも別にいい。
だから予想も自分なりにあげる。

今年の印はこのように打ち乱れてみた。

 

打ってから情報が入ってぶれてしまうのが有馬記念だ。年末ムードも後押しし、さらに今年はクリスマス当日と来たもんだ。

有馬記念のネームバリューは凄まじい。初めて馬券を買いますなんて人が大勢現れる。だからこそ、情報戦になる。

知った口を叩く謎の情報がそこかしこから出現する。オッズという数字の存在が気持ちを揺さぶりかける。勿論どんなレースでもオッズは出るが、有馬記念のオッズだけは精神力を試される。

有馬記念というだけで、数あるレースの内の一つ。そんな心構えで臨める競馬ファンは一握りもいないはず。


で、だ。
今年の有馬記念の馬券はこれなわけよ!これよこれ。

 

ぶれなかった。私今年ぶれなかった。

有馬記念は当たってもばすれても悔しがらない人が勝者なの。だから謎の情報に振り回されずに自分を粛々と信じるしかないのである。

 

それでは今年の有馬記念を始めましょう。

 

奇数番号の本命対抗両馬がゲートイン。
偶数各馬も続々とゲートイン。最後に大外⑯ディープボンド。

 

「あなたの夢はなんですか?」

 

ゲートが開き一斉にスタート。出遅れたのは⑤ジェラルディーナ。あとやはり本命③ボルドグフーシュは出足がつかない。鞍上が結構促している。

そうなんだよ、やっぱ足遅いんだよ。
あら。あらららら。最、後、方、です。
まあいい、見てろ最後の直線を。

先頭に立ったのは皆の予想通りで⑬タイトルホルダー。外から桃色の帽子がプレッシャーをかける。こりゃまあ予想通りの展開ですこと。順調に予想通り。だからゴリッゴリ圧をかけてほしい。

ホームストレッチに入りタイトルホルダーがセーフティリードを確保する。二番手を⑮ブレークアップ。三番手に三頭並び、内の⑩ジャスティンパレスは絶好のポジション。やはりディープボンドは外を回されている。

思い描いた展開にも程がある。一つ読み違えたのは、②イズジョーノキセキと⑧ウインマイティーのポジションが逆なことくらい。

隊列は変わらず、61秒2の平均ペースで1000Mを通過。先頭はタメを作りたいところかもしれない。

しかしこれは有馬記念。番手の各馬がそれを許さないはず。ゴリゴリやって余力を削る算段。読みよ当たれ。馬券よ当たれ。

⑨イクイノックスはちょうど中団でいつでも外からゴーサインで動けるポジション。なんと頼もしい位置にいるのだろうか。

二番手ブレークアップは仕掛けない。鞍上の特徴を考えてこれも予想通り。向こう正面から3コーナーの入り口で、ディープボンドがそこをどけと言わんばかりに進出をはかった。
ペースがあがって各馬のエンジンが更に一段階あがる。鞍上の手も動く。ボルドグフーシュはまだこらえてほぼ最後方。

コーナー半ばでタイトルホルダーに並びかけるディープボンドだが、コーナーでの競り合いは分が悪い。半馬身先頭を譲りながらゴリゴリの併走。

16頭がひた走る12月25日の中山競馬場第三コーナー。前の各馬に寄ってフォーカスしたカメラワーク。

各馬群れを膨らましながら進出が始まる。どことなくわかってはいたはずなのに、持ったまま大外から加速して捲ってきたのはイクイノックス。

うわ強いな。あー強い強い、強いって。これ何度も見たことある。こうやってコーナーの外から上がってくる馬って圧勝するの。圧勝。イクイノックス強ええ。

うーんとー、ボルドグフーシュは?
ボルドグフーシュ?
ボルーシュ?
ボルシュ?


正面から四コーナーの出口を映すカメラに切り替わる。

...ボルシュ!
ボルドグフーシュ!!

いる!よし!
一番大外ボルドグフーシュ。イクイノックスより更に外。カメラの切り替わりでワープ現象として現れた英雄。

直線に入る。

先頭は華麗にイクイノックス。内で逃げ粘るタイトルホルダー。間に復活なるかエフフォーリアの姿。一番外からボルドグフーシュ。

各馬を引き離すイクイノックス。
知ってる、知ってるもんね、強い勝ち方するんでしょ。だって強い馬のそれだもん。

坂を駆け上がる本命ボルドグフーシュはその背中には追いつけない。他の馬は交わして二番手にはこぎつけた。それでも奴は強すぎる。この世代の強さを知らしめてやろう。

立派な二着だボルドグフーシュ。ボルドグフーシュ頑張れ、ゴールへ駆け抜けろ。

サイゴサンチャクジェラルディィィィィィィィナァァァァ!!!!

 

うらあああああああああああ!!!

予想完璧やんけええ。

10年の集大成。

ここに決めてやりましたわ。

みなさんメリークリスマス!


馬鹿にお付き合いいただきありがとうございました。


天皇賞
◎ボルドグフーシュ

 

2022年マイルCSを振り返る

こんばんは。

毎週のG1ウィーク楽しんでますか。

本日はマイルチャンピオンシップでしたね。所要があったので、レース映像で先ほど結果を確認しました。

 

それでは私の90秒をお届けします。

 

軸 ③ダノンザキッド

理由:

本馬はスローペース戦で好成績を納めている。このレースのペースの鍵はソダシ。一線級の牡馬に混ざった白毛牝馬は勝つためにプレッシャーをかけるか否か。

かけなきゃスロー、かければミドルかハイペース。考えても仕方ないので、圧をかけない方に割り切る。前半速くなったらそれまでや。

 

 

発走

各馬ゲートイン。

なんかチャカついてる、軸馬ちゃうかあれ、やめてくれよ、おい頼むって。ああゲート開いちゃったよおおお。

おおおお出ました、出れましたゲート決めましたダノンザキッド。好意につけよう、好意追走しよう。ね、はい、いいとこ。いいとこですねーそこ。ほらソダシ見ながら走れるね最高です。今最高ですよ。

先行各馬は争い過ぎてはない。結構な塊で馬群はひた走ってましてこれ、最高に最高。カレーにハンバーグですね。

後はまじでペースだけ。本当にペース。最初の600Mスローで通過したらもう勝ちです。あ待って、なんかピンク帽が押し上げて行って、誰あれ。やめーや誰よ。頼むスロー、スローペースで。

 

前半600M通過タイム

35秒1

 

来た!来たってこれ!はい勝ち、はいもうありがとうございます。最高の最高の最高。カレーにハンバーグに唐揚げ。

 

もうたぶんこれ詰まらなきゃOKやで。

 

 

4コーナーから直線に入る

 

軸馬の勝負服を把握していなかったため、ここで少々混乱します。

ちょっと待って。黒帽二頭並んでる、どっちや。内か?外か?待て待て待てどっちや、ダノンやろ、うん。ダノックスダノックス。外の黒がサンデーなので。答えは、内の黒帽子!!

最後の直線に入りました。本レースは外回りコースなので直線はそこそこの長さがあります。

前にソダシ。ソダシは持久力タイプ。ソダシはスローならキレ負けするから後ろにいたら詰まるよ、内か外から交わそう!どっち行く?どっち?どっち?内行けそうちゃう?

内行こうぜそうそうそうそうそう内から!交わせ!そう!交わせそう!キレ味ならソダシよりダノンザキッド。いいよ、交わせるそのまま先頭いけるよ。あるあるあるある!あるってこれ、最高の最高の最高揃ったらそりゃこれあるって!

あと思ったよりソダシ強いな、渋といって。スローで流れてたのに渋とい。渋といぞソダシ!おい買ってないぞソダシ!ソダシ買ってないって、買ってない買ってない買ってない買ってないなんか外から来たけど帽子黄色い?

黄色は買ってないってえええええええ!!!!

 

ゴール

完全に抜け出して、一着はセリフォス。

叩き良化型なのかな。おめでとうございました。

二着にダノンザキッド。

三着にソダシ。なめてました、地力見直します。

 

両方買ってないわあああああああああああああああああああああ!!!

 

 

2022年 菊花賞を振り返る

※私は④番ボルドグフーシュから、BOX馬券を購入しました。

 

 

18頭がゲートにおさまる。

少しの静寂。

辺りから離れる係員。

開いたゲート。

 

心中の本命④番ボルドグフーシュくん、今日もスロースタートで開幕。毎回後ろからだもんね、今日も一発末脚よろしく。

 

抜群のスタートを切ったのは⑩セイウンハーデス。鞍上に気合を付けられ、発馬から三秒そこらで今年のペースメイカーが決定した。

同じく好スタートの⑥ビーアストニッシドが番手かと思われたが、最内を確保するや勢いを抑える鞍上。

この機に外から枠を不安視されたオレンジ帽の実力馬⑭アスクビクターモアが変わって二番手を確保する。一応言っておくと対抗一番手の印打った。めっちゃいい位置でもう最高。ついでに言っておくとセイウンハーデスが対抗二番手。始まってまだ十数秒、ニヤニヤが止まらない。

 

一周め最初のコーナー。アスクビクターモアに続いて先行する同色の帽子。

あれ?これ⑬ディナースタ?

そんなに出足あったっけ。馬券購入者の八割は君が後ろから捲り打つと思ってたはずだよ。先行かつ捲りなんて見せてくれた日にゃ、馬券の当たり外れなんてもうどうだっていいよみんな。

そうなるとやっぱり気になる本命ボルドグフーシュ、君はどこを追走中だろうか。スタートはいつも通りだったろう。カメラワークが先頭から順に馬を追う。

はいはい前哨戦一緒に走った勝ち馬⑱ジャスティンパレスがここね。

でその内に一番人気の①ガイアフォースがいます、はいはい。

⑯セレシオンがいてー、この辺までが中団かな。んでー⑪ドゥラドーレスがいてー、

ボルドグフーシュはこの辺と。

 

ほおーこの辺か。ほぉ…この辺か。思ったてたより前め。

馬群からは離されていない。レースが動いてもついていけるポジション。彼より後ろには五頭ほどだろうか。

あるな。いやーあるなこれは。あるぞボルドグフーシュ。

最内走ってるでしょ。自分から動ける馬群の後ろでしょ。ね、あるでしょ。

 

ホームストレッチに入ってくる各馬。

先頭は快調ペースのセイウンハーデス。三馬身程度離れて私の対抗一番手。

ああいい感じだ。これはいい感じ。

これでミドルペースならアスクビクターモアは固い。そこに最後ボルドグフーシュが突っ込んでくる。完璧。ついでにセイウンハーデスも残っちゃったり...あはははニヤニヤが増してしょうがない。

 

最初の1000M。

通過タイムは速報で58秒7と出た。

 

ちょっと待って。

えっ速くない?だいぶ速くない?

本当にちょっと待ってほしい。

あれ今日天皇賞秋だったか?

先頭パンサラッサか?

違うよね阪神競馬場でしょここ。菊花賞でしょ今日。古馬だもんパンサラッサ。

 

妄想から現実に引き戻され真剣な眼差しに戻る私は、現実的な理想にすり替えて整理を始める。

このペースで三馬身差追走は番手でも間違いなく速い。対抗二頭共倒れもありえるのではないか。

いやまだ2000メートル残っている。そう、今日は菊花賞、長距離戦。ずっとこのペースで走られてはどの馬も実力が出せない。必ずペースの緩む区間がやって来る。

阪神開催の昨年だって、中間の1000Mはこれでもかという落差のある緩いラップが刻まれた。京都で行われていた二年前までだって、中盤の1000Mは緩々の息入れ区間なのだ。

ゴールドシップが勝った2012年なんかは全然緩まなかったのだけれども。

 

だから緩む。絶対緩む。58秒7は速い。

そしてアスクビクターモアはタフなペースに強い。持続力に秀でたレースぶりでここまでの人気を集めている。中団グループは皆辛いペース。そう考えれば対抗一番手にとっては別に恐れるような状況でない。むしろ好都合。このままでいい。

そんで直線ボルドグフーシュがズドン。たぶん。

だからセイウンハーデスよ好きなようにに逃げるがいい。たぶん。

 

ゴール板を過ぎて残りあと一周。

予想通りペースを落としたか。セイウンハーデスが後続勢を引きつける。後ろにアスクビクターモア。その後ろに内のビーアストニッシドと外のディナースタ。

 

あ、ディナースタ。

 

気付いてしまう。

このペース、この位置でディナースタが得意の捲りでも決めたりなんかしてくれたら私の馬券は散ることに。

先頭と各馬の差は縮まっているので、間違いなくペースは緩んでいる。ディナースタが捲りを敢行するのは、決まってバックストレート。もうすぐバックストレート。

できることなら今日は捲らないでほしい。鞍上もハイペースは体感していることだろう。先行して欲張って捲るなんて流石にそれは、流石に。

幸か不幸か願い通じたかディナースタの捲りは発動できなくなる。

先頭のセイウンハーデスがコーナーから直線にかけて緩んだペースを元に戻したのだ。

ディナースタの捲りを予期していたのは馬券購入者だけでない。

ハーデスの鞍上もその一人だったのかもしれない。あれだけの乱ペースで前半をメイキングしながら、伏兵の台頭は俺たちだけで充分なんだよと。レースの鍵を全て一人で請け負うつもりだったのかもしれない。幸騎手の計らいか、ハーデス卿の暴走かは知らないが後続との差を再び広げていく。

後続までは六馬身近い差に広がった。集団は変わらずひと塊で、ボルドグフーシュも食らいついている様子。

ポジション争いがここから始まる。なんとかボルドグフーシュは引き離されないでもらいたいところ。ジャスティンパレスのすぐ後ろで内からポジション進出をかがうゼッケン④番ボルドグフーシュは鞍上吉田隼人さん。

 

第三コーナー入り口で虎視眈々と先頭との差を縮めるゼッケン⑭番アスクビクターモアは年明けからずっと手綱を握る鞍上田辺さん。ちらほらとジョッキーの手が動き出す各馬たち。
進出を促すようにボルドグフーシュも少し手が動いている。軽い動作でどうやらバテてはいない模様。きっと大丈夫。

 

コーナーの中間でセイウンハーデスを射程圏に入れたアスクビクターモアが、外から先頭に躍り出る勢い。田辺騎手の手はまだ動いていない。最初も中間もハイペース。それでいて持ったままの早い仕掛け。対抗二番手セイウンハーデスは悔しいが垂れてしまった。入れ替わり先頭に立つアスクビクターモア。耐えてくれよ頼むから。

 

同じ時をして、本命馬は進路を外に切り替え豪腕を奮う吉田騎手がゴーサインを送る。しっかり、しっかり加速している。加速できている!

 

今日も、その末脚、炸裂に、期待大!!

 

直線の入口で先頭は後続に4馬身つけたアスクビクターモア。

外から力強くボルドグフーシュことボルシュ

 

ボルシュ!!

伸びろ!伸びろ!

伸びてる!はい、伸びてます!

 

内からピンク帽も一頭。なんだお前。

二番手争を併せ馬で叩き合い。制せよボルシュ馬連まで取らせてくれボルシュ

 

しぶといピンク。

負けじとボルシュ

先頭の背中を追い坂を登る二頭。

 

三着までは恐らく決まった。

あとは根比べ、どの馬が冠を手にするのか。

 

先頭のアスクビクターモアまでの差も縮まってきた。これはもしや、あるんじゃないのか。ボルドグフーシュが菊花賞馬の称号を手にできるんじゃないのか。

 

伸びろボルシュ

伸びろボルシュ

ピンク帽にはもう競り勝てた。馬連も取れた。

 

 

迫るゴール板。

栄冠を手に!ボルシュに栄冠を!

最後のひと伸び!ボルシュー!!

 

 


大歓声の決着。

今年の菊花賞馬の称号に輝いたのは、⑭アスクビクターモアだった。道中の緩みがほぼないペースを、強い馬のそれで勝ちきった。

僅かハナ差届かず二着に敗れたボルドグフーシュだったが、ハナ差では語れない強さを勝ち馬に見は見せつけた。

 

近年ではなかなか見ることのできないスタミナレースの長距離戦で、非常に熱い三分間。菊花賞への満足度は、競馬を初めて最も高いと言えるのではないだろか。

 

ラストの直線、本命馬への過集中からピンク帽としか認識していなかったジャスティンパレス。正直甘く見ていた。

 

 

買ってないって。

 

 

2022年スプリンターズSを振り返る

昨年の秋から1200MのGIレースでの馬券は好調だった。

 

・2021年の秋

スプリンターズSでは、ピクシーナイトからワイド2点。

シヴァージとの美味しい配当を懐に入れる。

軸に彼を据えた理由は結構曖昧だった。

強そうな三歳馬だ!あと短距離って考えても無駄だから絞って買おう。確かこれくらい。

 

・2022年の春

高松宮記念では、ナランフレグを本命に。

無駄を削ぎ落とした馬券は馬連ワイド1点で、ロータスランドがドンピシャで入った。

丸田騎手が大好きなので、考察抜きに本命は決まり切っていた。それが1点ドンピシャと来たもんだ。

『馬群の間を捌いていって、最後の一突き届いています』

ゴール板通過後の実況がファンの涙腺を一層緩ませたことも忘れない。

 

そう、絞った馬券でズバッと的中させているのがここ二戦のGIスプリント戦なのだ。

馬券の買い方は数あれど、少ない点数で的中できればできるほど購入者の興奮度も比例して右肩上がり。

 

さあ2022年スプリンターズステークスよかかってこい。

今日も研ぎ澄まし削ぎ落としで完成させた究極馬券だ。

 

これは先にお伝えしておこう。冒頭の二レースの買い目で勘のいい方はお気付きかもしれないが、私は堅実な馬券にあまり手を出さない。リターンの大きい馬券を常に買う。

だって微微たる額が増えても楽しくないから。

いやそりゃ的中率的にはそこまでかもしれないですけど、当てた時の雄叫びったらないんです。理解得難いのは知ってますけど、逆転満塁ホームラン馬券以上のロマンったらないんですよ。

競馬に興じる者たちは私のような者を穴党と呼ぶ。

 

『微額は美学にあらず、爆額こそ美学なのである』

穴党の皆様、名言が生まれましたのでどうぞお好きにご利用ください。

 

スポーツとしての競馬と、馬券観点の競馬は別物です。

本ブログは、読者の皆様にとって赤の他人の馬券視点でレース感情を憑依させて人間模様を楽しんでもらうのが趣旨です。

いい塩梅でいい馬券に出会えるといいですよね。

 

そんな私の2022年スプリンターズS

購入した究極馬券はこれだ!!!

 

 

軸は⑨ナムラクレア、相手に③メイショウミモザ⑧ファストフォースの二頭。

昨年と同じく、二点で獲物を仕留めてやる。二点じゃない?三連複?いいですか、もう二点と同じなんですよこれは。

 

 

軸に選んだクレア嬢といえば、前走は鞍上が責められて致し方なしのレースぶりだった。

福岡は小倉競馬場で行われたGIII北九州記念、芝1200M。

 

「負けるとは思っていませんでした。自分がうまく誘導できなかったことに尽きます」

彼女の背にまたがった浜中騎手はレース後にそう答えた。

 

北九州記念の内容をまとめるとこうだ。

 

外枠からまずまずのスタートを切り、中団の位置で僅かに外めを追走。同じ日に同条件で外から豪快な差しを決めて勝利を収めていた浜中騎手は、クレア嬢にもそんなイメージを重ねていたに違いない。しかし4コーナー出口でイメージは崩れ去る。

一列前の馬たちが膨れに膨れて広がっている。これ以上外を回してはロスが大きく届かない、内は内で譲らない馬がたくさん。最後の直線が短い小倉競馬場。勝負どころのコーナーでクレア譲と騎手は加速できず、むしろ接触のリスクから急ブレーキを踏むこととなった。

迎えた直線で前の各馬が徐々にバラける。その僅かな隙間へ向けられたゴーサインは、あまりにも遅過ぎる仕掛けだった。急ブレーキからの急加速である。とても間に合ったものではない。掻い潜った先のゴール板を抜けた彼女は三着という結果に終わった。

よく三着に来たなというのが感想である。負けて強しの三着。騎手コメントの悔しさがよく伝わるレースぶりだった。並の馬なら三着までは到底届かないレースに違いなく、ナムラクレアのポテンシャルを思い知らされるレースであった。

 

そんな彼女と一緒に私はこれから電撃の1200Mを駆け抜ける。

 

クレア嬢、もう何も恐れるものはありますまい。

私の想いと浜中騎手の想いと、そして嬢の想いとが同じベクトルを向いています。

今日は先頭でゴール板を駆け抜けましょうクレア嬢!!!

穴馬の二頭を連れて先頭でゴールを駆け抜けられたし。貴方ならできます。

 

 

 

そしてゲートは開いた。出走の16頭各馬が一斉に強靭な脚を回転させる。

これはいいスタート切りましたよナムラクレア。いいよいいですよクレア。

 

押して押して先頭をうかがう⑧番ファストフォースにも思わず声が出る。

あー最高の展開。団野くんハナとっていいよ、もう逃げちゃってもいい!

 

となるとミモザは、ミモザ

あれ待って。ちょっと待って。ミモザしっかり好位取りに行ってる。ラチ沿い。好位。丹内さん激アツリーチ流石過ぎます。2枠③番メイショウミモザちゃんこれ以上ないベストポジションです。

 

ナムラクレアと人気を分け合い一番人気に押されたメイケイエールは、まずまずのスタートから果敢にポジションを確保すべくクレア嬢のすぐ隣までやってきた。やってきたかと思うとさらに前へ。クレアの一列前へメイケーエールは陣取った。

 

やはり中山1200M戦。早いもので、もう第三コーナーに差し掛かる。隊列は決まった模様。

逃げるは①番テイエムスパーダ。ハナにはこだわらないとかいう厩舎コメントは関係なかった。二番手に⑧番ファストフォースが外から追いかけている。逃げる二頭から少し離れて先団の各馬が機を狙う。

はっきり言ってものすごく良い。スパーダは垂れちゃうから、斤量堪えちゃうから。ファストフォースが直線で先頭に躍り出る姿の想像が容易い。

 

前半600メートルは速報で32秒7の通過。これは速い。

昨年の通過は33秒3だったはず。0.6秒縮んだ。

今日これまでのレース結果から考えて、昨年より時計がかかる馬場状態のはず。

 

速報と共にファストフォース鞍上の手が早くも動いた。団野騎手がガシガシ追っている。どうした手応え怪しいか。少しテイエムスパーダと差が生まれそうになる。いやそれより、後ろの先団から白い帽子が迫ってきている。もう間も無く第四コーナーから直線への合流。

 

同じ過ちはいらない。今日こそはコーナーでの加速を果たすべくナムラクレアの鞍上も追い出しをはじめ外への進出を狙う。前のメイケイエールも抜け出しをはかり、並んで人気二頭が外を回ってやってくる。そしてその内に並走している黒い帽子はメイショウミモザミモザ

最高、はい最高です。ありがとうございます。最高の直線を迎えることができました。

 

粘れファストフォース。忍びよれミモザ。外からごぼう抜いちまえクレア嬢!

 

直線に入りテイエムスパーダは予想通り垂れてきた。しかしファストフォースも垂れている。代わりに内からあの白い帽子①番ジャンダルムが先頭に躍り出る。外を回した各馬はどうだ。

伸びてクレア嬢、伸びてミモザ、すくすく育ってミモザ。伸びてる?伸びてますか?

あー、んー、これは、伸びてるのか?ジリっジリ伸びてる気がしますね。二頭とも前め走ってたからそうか。うん。そうですよね、ジリジリですよね。

 

じゃあもう堪えるんだクレアとミモザ!耐えて!堪えて!

ファストフォース君が!もう!沈んじゃったんで!

 

残り200メートル。中山競馬場名物の急坂。トップスピードで駆け上れ。

いいよクレアいいよ、坂平気だよ伸びてるよ、いける!伸びろ!堪えろ!クレア!!

堪えろ!ミモザミモザミモザぁぁぁぁぁ、坂きついかぁぁぁぁ。乳酸溜まったか。ダメか。ああ、沈んでいく。ミモザちゃん沈んでます。ゴスペラーズミモザが頭の中で流れ始めました。

 

ガラスの〜靴で〜♪

踊るミ〜モ〜ザ〜♪

 

しかしメイショウミモザの脚は息を吹き返しません。

ダメか、あーはいダメだね。ダメでしたー。ダメだよねそんなうまく行かないよね競馬って。馬券って。

 

一生懸命ナムラクレアは坂を駆け上がっています。駆け上がって脚を伸ばしています。

伸ばしていますが、伸びきれない。踊り出られるか先頭へ。先頭は相変わらずジャンダルム。白い帽子が先頭を譲らない。

クレア嬢!クレア嬢!もうすぐゴールです、もうすぐなんです。私の馬券は散りましたけど、目指す想いは同じです。先頭でゴールを、貴方より前に馬がいるなんて信じられません!

 

残り50メートル

内でセーフティリードを作り粘るジャンダルム。ナムラクレアの差し脚は届きそうにない。なんか内から青い帽子も来てる。ファストフォース?えっ、えっえっえっそんなことある?そんなこと、あ、違う勝負服が違う。なんだっけあの馬。パドック二人引きでめちゃくちゃチャカついてたお馬さんだ。

そして真ん中からもう一頭なんかもの凄い脚。誰もう、クレアに譲ってよ三着くらいは。ねえ誰よ、ねえすっごい脚使いますね。THE・追い込み馬って感じ。高松宮記念でお世話になった人馬一体ナランフレグみたい。人馬一体ナラン、あーその勝負服!ナランフレグだ!丸田ジョッキー!ナランフレグだー!一叩きしないと足りないと思ってたからさあ。足りるんかい。足りるんだい。これが競馬やい。今回も最後の一突き圏内に届いています。

 

一着、①番ジャンダルム

二着、⑦番ウインマーベル

三着、⑥番ナランフレグ

 

 

これにて私の2022年スプリンターズSは幕を閉じました。

あなたはどんな70秒を刻みましたか。

 

本日はこの後に凱旋門賞も控えています。

馬券を買う予定はありません。

スポーツとしての競馬を凱旋門賞では楽しみたいと思っています。

鬼顧問とお鍋と私

高校時代、陸上部に所属していました。
種目は短距離で、実力はと言うと部内で一番遅いタイムで。それでいてムードメーカーポジションでもなく、ただただ真面目で足が遅い陸上部員でした。

あれはそう二年の冬合宿での出来事。
鬼顧問の先生が病に伏せる私にお手製うどんを振る舞ってくれたんですよ...



合宿地は毎年恒例海沿いの観光名所。

冬に海。
そこで砂浜ダッシュ

冷たい浜風。
だけど砂浜ダッシュ

頼り無いウインドブレーカー。
それでも砂浜ダッシュ

震える身体。
砂浜ダッシュで温めろ!温まるわけあっかしゃおらあああ!

太平洋をバックに閑散とした砂浜をダッシュする五日間が始まる。
その間の顧問、いや鬼顧問はと言うと離れた場所でベンチコートを纏ってフードも被って腕組み直立不動大名。この鬼顧問、本人がいないところでは部員皆に親しみを込めて“オッサン”の呼称で呼び合われている。

去年の冬合宿の出発日、寝ぼけ眼で視界の狭かった私は、そういやオッサン来てませんね直接現地ですかハハハハ、と荷詰め作業をしていて隣の先輩に脇腹を小突かれた。5メートル後ろにオッサンはいた。絶対に聞こえていた。間違いなく聞かれた。オッサンにオッサンって聞かれる大失態を晒してしまった。
だからこそ今年の荷詰め作業中だけはオッサンのワードを封印して臨んだ。オッサンにオッサンって聞かれんじゃねえぞ後輩たちよ。あと自分自身も。しっかり監視し無事クリア。オッサンにオッサンってバレずに出発。上々の滑り出し。

さあ二度目の冬合宿が始まった、今年も寒いな頑張るぞ。

初体験の去年は練習後に人知れず涙を流した日もあったもんで。関わりが少なすぎて、嫌いなタイプのレッテルを貼っていた先輩が周回遅れの私に並びかけて“頑張れ”と一言。宿舎に戻ってジャージとシューズの砂落とし作業をしていたら、勝手に泣いてました。あの時を越える頑張れに私はまだ出会えていません。

今年の砂浜に先輩の姿はありません。後輩を引っ張っていかなきゃならんのは私たちの世代です。どんな頑張れが治療薬に向いてるんだろうなんて考えながら砂落としをしていた二日目の夜。

頭痛の症状が出てきました。

午後の練習から喉に違和感はあったんですが、これくらい耐えれるわい17歳だぞてな意気込みで練習メニューをこなしていたんです。しかし頭痛様のお出まし。
こうなるとやせ我慢での練習参加はリスクが伴ってしまう。明日からの練習中に不調を嗅ぎつけられてしまう。となると、先手先手でオッサンに報告だ!

まあしかし怒るだろうな、体調管理できんやつがインターハイに行けると思ってんのか云々言われそうだな。でも自分足遅いしな、いやまあ足の速さ云々でそう言うことをあのオッサンは言いたい訳じゃない、気持ちの問題なんだよな。どんな言葉が繰り出されるかな。あとで皆にありがたフレーズ報告できるようにしておこう。絶対にありがたフレーズ貰って帰るぞ、笑っちゃだめだぞ自分!!!報告行くぞっ、おーっ!!!

尚、私はその後隔離部屋に連れて行かれることとなる。

顧問の部屋前で呼吸を整えノックを二回。

「誰や↑」

ありゃりゃ上機嫌じゃないっすかオッサン。こりゃマネージャーが作った夕飯に舌鼓を打ってましたでしょ。こっちは喉の違和感でお味がわからんでございましたってのに。名を名乗り入室させて頂きますよ。

あなた様と二人で対面するのはいつぶりでございましょうか。こうして見るとやはりハキハキしたお顔立ちで。若い頃はさぞかしおモテになられたんじゃないですか。酸いも甘いも辛いも苦いも味わって、いい大人味のお顔立ちですこと。それが練習中は鬼にしか見えないんですけどね、あたくしたちは。

ええそうなんです。昼間っから喉が変で、ちょっと咳もね。そんでさっき頭痛も出てきたてなところでございますけれども。え?いやいやそんな熱計れって、動けますよ私。まあ明日の練習?お休み?いただければ丈夫な身体が元通りってな運びで行かしてもらいまっさかいにぃ!
大丈夫、大丈夫ですよって。あらあらオッサンの掌が伸びてくるじゃありませんか、いやいや待って下さいよ、一年越しの禊ですか。確かに去年の荷詰めでオッサンって言いましたけど、言いましたけど、一年の焦らしは度が過ぎますよ顧問。ねえ顧問ってば。ちょっと顧問!!


私のおでこにピタリとシンクロする顧問の掌。

「やっぱり熱いな、計ってみ」

優しっ!優しっ!優男の起源isオッサン!
オッサンとか言ってたやつ誰だよ、優男だぜみんな。アンタの掌で熱上がるわホンマに、今計ったら38℃超えてまうわ。いや冗談ですけど、冗談ですけどね!
計りますよ計りますよ、ああこの体温計でね。でも、だるさは無いから熱なんてないですよ。あ、これ我が家の体温計と一緒です!ウチもこれっす!この緑のワンポイントが目印ですよねこの体温計...


ピピピピッ、38.5℃。

熱あるやん、いや熱あるやん。微熱とかちゃうやん、熱やん。なんかしんどい気がします、熱あるってわかると一気に気だるさ感じますよね。


体温を告げるとスーッと顧問の顔に冷静さが出てきました。唾をゴクリと飲み込む私。力強い眼差しで瞳を合わせてくるオッサン。


「すぐ準備せえ、30分後に病院行くぞ」


し、仕事人...!!声渋ぅ!!
気持ちの切り替え、状況判断に一切のぶれ無し!オッサン...あんたカッコ良すぎるぜ!!

そして何より怒らないんだ、怒らないんだオッサン。すいません、もう私は顧問の呼称で行きます。これまでのご無礼をお許しください、すいやせんでした顧問!!!

それから顧問、すいやせん!!
俺、保険証のコピー持ってきてねえっす!!
すいやせん!本っ当にすいやせええん!!
俺、合宿乗り切れると思ってたから!!


「そうか、立て替えとくさかいに。年明けにでも返してくれたらええからな...(ニコッ)」

み、ミナミの帝王...!!
ありがとうございやす!!
ありがとうございやす!!


そんなこんなで連れて行かれた病院で検査したところ、インフルエンザの診断が下りました。他にも体調不良の仲間二名が同じ診断を下されました。かわいいかわいい教え子たちへの蔓延を防ぐべく、宿舎に戻った私を顧問は隔離部屋へと振り分けます。
一人部屋で寝ころぶだけの私。目を瞑ろうと瞑るまいと広がる暗闇。高熱時特有の、ぐわぐわするあの感覚が広がります。幸い気分は悪くありません。少しの咳と喉のかすれと頭痛にうなされながら、ゆっくりゆっくり時間が過ぎるのを待ちます。

「おーい大丈夫か↑」

顧問の声です。枕元のガラケーを開くと23時前。
重い体をのそりと起き上げようとする私に、動かなくていいからなと玄関から優しい声がかかります。手を伸ばしてローテーブルから眼鏡を掴みかけてみると、顧問が何か持っています。両手で。

パチリと蛍光灯が点きました。どうやら鍋を持っている模様。ローテーブルまで持ってきてくれました。

「ほれ、食べて元気出さんかい」

蓋を取る顧問。もわぁっと湯気があがります。
そしてえらく鼻をつく匂いが広がります。

「しんどいときは昔っからうどんや。ワシのお手製やぞ↑」

私は反応に困ってしまいました。
うどん?まあそう言うならそうなんでしょう。うどん、うどんねえ。

鍋の表面は緑一色でした。大量のネギがうどんを覆い隠しています。なるほど鼻をつくわけだ。いやはや、これは困ったぞ。

生まれてこの方、私という人間は嫌いな食べ物ぶっちぎりNo.1の食材がネギなんです。ネギって凄いですよね主張力が。主役としてのドカ盛りメニューもあれば薬味で添えられる手法も多々あって、白と緑のオールラウンダー「ネギ参上!」とばかりに口の中にあの味が広がるじゃないですか。
ネギ好きな人にはそれが旨味、嫌いな人にはそれがエグ味。お話の通りで私は後者なんですが。

やってくれるな、あなたの呼称はオッサンに戻そう。やはりあんたは鬼顧問だ。

教え子への気遣いを自画自賛しながら嬉しそうに部屋を出たオッサンは、夜食に振る舞ったうどんがインフルエンザ患者三名から酷評を受けていたことを知らない。

有馬記念の外し方を振り返る

競馬歴かれこれ6年近くになるのですが、私は有馬記念で馬券を的中させたことがありません。

●2015年
アルバート軸のワイド
競馬新入生でしたから当たらなくて当然です。3600Mで勝ってる!同じ中山!手頃な人気!アルバート買い!撃沈でした。

●2016年
デニムアンドルビー複勝(少額)
この年は何も考えず年の瀬だ記念だ程度にと少額で買いました。もはや有馬記念を買わない選択肢もありました。
なぜなら、裏開催の阪神11Rのクインズミラーグロで勝負すると決めていたからです。前走前々走と寄られて減速の不利を受けていた当馬の阪神11Rが勝負レースだと自分へ言い聞かせていたんです。有馬は外れましたが、狙い通りクインズミラーグロは来ました、それも頭で。これがきっかけとなり、過去レースの不利、無駄打ちの我慢という二つの大きな予想柱が立ち、今にも繋がっています。

●2017年
ミッキークイーン複勝
予想柱が立った翌年は浮かれていました。無駄打ちは減ってレースの見返しにも取り組みましたが、有馬はお祭りなんて言葉に乗せられてたのは事実で。ミッキークイーン複勝に張ったのは前走のエリ女の走りに痺れたから。あと引退レースだったんですよ、だったら究極仕上げ間違い無し!キタサンブラックの引退に隠れて人気を落としてええ!
高揚しながら前日購入の複勝馬券を握って見つめたパドック画面で-10キロの文字が浮かんだときは泣きそうになりました。減ってる...嘘だ減ってるんですけど...誰か究極仕上げって書いててくれとネットケイバのページをスクロールしました。予想柱の中はスカスカでした。

●2018年
モズカッチャンの複勝
予想柱をより強固たるものにと臨んだ一年の締めくくり有馬記念、結局お祭りの言葉に乗せられてしまいます。そのせいで、なんでモズカッチャンに張ったか覚えていません。前年二着のクイーンズリングがちらついたのは覚えています。帽子の色、牝馬、外国人ジョッキー...いやいや選び方が歴3ヶ月のソレ!で買ってこれまた撃沈。阪神競馬場のターフビジョン越しに観戦していたんですが、誰一人当たらず繁華街へと繰り出して仲良くモツ鍋をツツきました。予想も覚えてないくらいで甘々だったので悔しさはなかったんですが、沁みました。

●2019年
サートゥルナーリアの単勝
去年の有馬記念は、しっかり覚えています。前走の天皇賞秋で敗れた瞬間からサートゥルナーリアでした。それだけの期間ぶれることなく心に決めていても、大舞台ほど余計な情報も入ってきます。東京が合わないのは左回りだから、地下馬道がうんたらかんたら、有馬はコースを2週するから歓声で実力出せない等々。
ぶれることなく貫いた単勝馬券は、抜群の手応えでコーナーから持ち出したDレーン跨がるリスグラシューに阻まれてしまいました。ただ、過去一番に悔いの無い馬券でした。ただただリスグラシューに拍手を送りました。そして、この時も阪神競馬場のターフビジョンで観ていました。


こうやって振り返ってみますと、年々競馬に対する心の在り方がどっしりとしたなと実感します。これだけ調べて自分なりの根拠が揃った、その上でこの馬なんだという充足感が出てくるんです。
SNSの発達もありまして、2019年の様に調べれば調べるほど真偽不明の定かでない情報も溢れかえり出しました。今年も溢れています。お祭りの有馬記念を楽しもうとするほど、前日の傾向を知ろうと見返しにも熱が入ります。月曜が仕事納めの方ももう既に仕事なんて納めた心持ちで脳内は有馬記念一色でしょう。2分30秒程のお祭りを楽しむために、多くの方がたくさん時間を割いておられることでしょう!
自分が各馬に対して割いた時間を、たまたま目に付いた情報一つの数秒で覆した先に何があるんでしょう。その情報をレース後に目にして検証してみて精進する、結果自分の見立てが違ったらアップデートして予想材料にする。それが競馬で馬券を当てるときの醍醐味なんじゃないのかなと。

何が言いたいのか自分でも分からなくなりましたが、有馬記念はお祭りです。自分をぶらさずに買えば、当たろうが外そうが悔いは残らないというのが過去の経験談です。

ここ3年は“過ぎない”本命サイドの馬券でしたが、今年もそんな馬からになりました。当日パドックや馬体重を見ると揺らぐくらいに、まだまだ私の心は未完成なので、14時までには買います。買い方はもう少し考えながらで...
去年までよりも自信はあります。これは当たるかどうかの自信でもあり、悔いが残らないかどうかの自信でもあります。

◎カレンブーケドール

では皆さん!年の瀬!年に一度の有馬記念を楽しみましょう!!

2020年阪神ジュベナイルFを振り返る

※私はユーバーレーベンの単勝複勝馬連を購入しました。


勝ったのは白毛のソダシだった。ゴール前は内から伸びたサトノレイナスを差し返しての華麗なる勝利。白毛馬のGⅠ制覇というのは世界初の快挙とのことである。鞍上の吉田隼人騎手は2015年のゴールドアクター以来、2度目のGⅠ勝利。人馬関係者の皆様、おめでとうございます。
2015年の有馬記念と言えば、私はアルバートの紙馬券を握りしめてたっけなあ...

さてこの阪神ジュベナイルフィリーズはリアルタイム観戦がかなった。2歳牝馬のGⅠレースをテレビ越しに、こたつに入ってぬくぬくと、紙馬券もセットして体勢は整った。18頭のゲート体勢も整った。

さあ、いざ共に参ろうユーバーレーベン!
恐らく距離が足りないユーバーレーベン!
父親譲りの大味競馬のユーバーレーベン!

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⑪番ユーバーレーベンのゲート出はまずまずだった。出たか、そうか出たか、よし一安心。デビューからの2戦はゲートの出遅れを露呈しただけに、“ユーバーレーベンあんまりゲート上手じゃない説”が唱えられていたんだよ。でも出た。出たじゃん、出るじゃん、やるじゃんユーバーレーベン。
が、しかし彼女にはあまり二の脚が備わっていないことが判明する。前に食らいついて行けない。作戦だったにしても、加速を感じられぬスピードで隊列の後方へ位置取る形となった。

2歳とは言えどGⅠのレースである。各馬持ち味を出してくるので、前走のアルテミスS程緩い流れにはならない。前半600Mの通過は34秒9と前走から1秒2も速い。そりゃ置いていかれちゃう。ユーバーレーベン置いていかれちゃう。まあそれもヨカヨカ。

だが実のところあまり私は心配していなかった。
と言うのも、ユーバーレーベン嬢が思い切った出遅れを披露しながら2着に入った2走前の札幌2歳S(芝1800M)で、前半600Mのレースラップが35秒0だったからだ。コースの違いはあるが今回とほぼ同じラップだ。そしてその時とは大きな違いがある、そうそれは、ゲートで出遅れていないこと。
その為、札幌2歳S時の前半600M通過時は先頭との位置関係で15馬身差あったのだが、今回はどうだ、10馬身差程度まで縮められている。これは真面目に頭まで有り得る、捲りかましてやろうやユーバーレーベン!距離不足なんていう懸念は遥か彼方へ消失していた。

それまでもずっと差し競馬しかできなかった当馬なので、今回も必然的に差しの形になることは既に想定済みだった。あとはゴールドシップパパ譲りの外捲りが炸裂するかどうか、いやするだけだ!!!
鞍上はしっかりと外を回す算段だ。外を回すとしか考えられないポジションだ。デムーロさあああん!!ショータイムお願いしまあああす!!

残り600Mの標識でデムーロの豪腕が動いた。大外を回って直線コースへと出る。さあ、伸びるか伸びるか?伸びろ、伸びなよユーバーレーベン!

内回りとの合流地点を通過。伸びてる?伸びてはいるな、伸びてはいますねユーバーレーベン。ちゃんと伸びてますよユーバーレーベン。

残り200M各馬が坂を駆け上る。あー来た来たユーバーレーベン来ましたよ!伸びてる、ユーバーレーベンどえらい伸びてる!ユーバーレーベン伸びすぎてる!エンジンかかりおっそ!あらあら白毛のソダシが抜け出してる。でもユーバーレーベンだって伸びてる。捕らえてしまえユーバーレーベン!!もうちょい、あともうちょい、ユーバーレーベぇぇぇぇン...

激走の結果ユーバーレーベンは3着。
この距離で結果が出たのは凄く大きな一歩だと思う。前々からオークスでこそ本命と掲げる人が多かっただけに、この結果は来年のクラシックでの期待を増すばかりだ。

またレース後の関係者コメントでは興味深いものがあったので、今後の参考にもなるかと思う。背に跨がったデムーロ騎手はこう述べる。
「直線に入って他馬が近付いたら逃げるようなところがありました」

管理する手塚調教師はこう述べる。
「もう少し内を回りたかったね、距離はあった方がいい」

来年のクラシックは、データを纏めてしっかりユーバーレーベンに捧げたいと思う。